2007年9月24日月曜日

リサイクルの巻1 リサイクルはお嫌い?

天気の話が大好きと言われるイギリス人だが、天気の話となれば地球温暖化が出てくると言ってもいいほど、地球規模の環境問題は人びとの日常的な関心事となっている。環境教育のための教材やプログラムも充実しるし、ロンドンのような大都市はもちろん、小さな町村でも環境をテーマにした講演会やシンポジウム、エコイベントのお知らせをよく目にする。

しかしながら、ことリサイクルに関しては、英国はヨーロッパの中でも後進国に甘んじている。国全体で資源リサイクルに取り組み出したのは日本と同じく2000年頃だが、実はゴミの分別収集などはつい最近始まったばかりという自治体も少なくない。EU諸国との条約にもとづき埋め立てが制限されてから、ようやくペットボトルなどの容器もリサイクルするようになったが、たとえばビンは多くの地域で回収の対象にもなっていない。

英国内でリサイクルが進まない理由のひとつにあげられるのが市民意識。「ゴミの分別なんて生真面目なドイツ人のやること。イギリス人には無理」と言い切る人と何度も口論したことがある。「日本でも最初は抵抗があったけど、一度定着すれば案外面倒ではないことがわかって実行するはず」と。

一度決められたルールは周囲が実践している以上、不承不承でも従うのが日本人のお国柄。ゴミの分別収集が始まった当初は多少の混乱や不満の声があったものの、数年のうちに見事に浸透した。黒のビニール袋が透明に変わって以来、分別が驚くほど徹底されたらしいが、これは他人の目を気にする日本人特有の行動パターンが功を奏したケースと言えるだろう。日本では環境問題を頭で理解させようとするよりも、まずルール化しマナーに訴えるほうが、高い効果が期待できるのかもしれない。

一方、他人の指図を嫌い、権力やルールにはまず反発すると自称するイギリス人はどうか。やはりあちこちで徹底した抵抗攻撃が起こっているようだ。最近「きちんと分別していないゴミは収集しません」という自治体が出てきたが、ゴミの分別の仕方をとがめられた主婦がテレビのインタビューではげしく反論していた。役所に抗議しているのではなく、公共の電波を使って「誰がこんなルールを決めたのか。わたしは絶対従わない」と全国放送で訴えているのだ。

面倒と言っても、生ゴミと燃やせないゴミとリサイクルゴミの多くて3種類。しかも玄関先まで収集に来てくれるのだ。日本の地方の町村には20とか40とか恐ろしい分別を実行している自治体もあるという話をすると、感心するよりも呆れられた。この国ではゴミ収集のスタッフもさぞかし苦労するだろうと同情せざるを得ない。

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