「ペンパーキー・グリーン・イベント」(ペンパーキーは市内のある町内会の名前)もトランジションらしいイベントのひとつだ。お年寄りの知恵や我が家の伝統的な技を集めて地域のグリーン・リソースを開拓し、参加した人がそこで学んだアイデアを家に持ちかえり実行してもらうことをねらいとしている。残り物を利用した料理や編み物のデモンストレーションがあったり、バイオディーゼルやガーデニングの本の販売があったり、とても楽しそうだ。スキルスシェアを推進するグループの冊子を開くと「草刈します」「犬の散歩をします」「ブラックベリージャム作ります」「ジーンズのすそ上げします」「自転車修理します」などなど、一見技術とは呼べないようなものでも、あったら便利、しかも民間サービスに頼るよりも実はお得な小技がたくさん登録されている。「いついつどこどこへ定期的に車で行くが、同乗したい人はお知らせください」というカーシェア情報もあった。このグループのルールでは、基本的にはお金を使わずに自分の技術や労働を提供することでサービスを受けられる仕組みになっているが、サービスをお金でやりとりするケースもある。
2006年9月、英国ではじめて「トランジション宣言」をしたトットネスに続き、各地でトランジション・タウンが誕生し、活動は勢いを持って広がっている。日本でも、その波動を受け、2008年6月「トランジション・ジャパン・プロジェクト」が結成された。「トランジション」の考え方を普及するための説明会を行うと、会場はいつもいっぱいで、人びとの興味関心の高さ、そしてこの運動に対するニーズの高さが伺える。
専門家がいないからとか、資金がないからできないということではなく、むしろ今自分たちが持っているものに着目しそれらをつないでいくこと、ちょっとした意識の変化で方向性を変えていくこと、そしてそれぞれの地域性や風土を活かしながら小さくてもできることを増やしていくのが「トランジション」のアプローチだ。英国とは違った日本独自、地域独自のプログラムがどんどん生まれるだろう。さきがけて活動をスタートした東京都の小金井、神奈川県の藤野、葉山に続いて、近い将来、日本のあちこちの町で「トランジション旋風」が吹くことを期待したい。
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